地方再生を叫ばれる今、九州に特化した本作り、をしたりはしません

 伽鹿舎について説明しようとするとき、必ず相手が言うことがある。
「いやいや、九州だけなんて、成り立たないでしょう」
「九州の作家ったってねぇ。住んでる人はあまりいませんよ」
 もちろん、そのとおりだ。
 そして、伽鹿舎は九州の人だけに本を買ってもらおうというわけではないし、九州の作家にこだわって本をつくるわけでもない。
 
 伽鹿舎がこだわるのは「九州から発信すること」「九州の本屋さんを元気にすること」である。
 
syun 来たる10月23日。
 伽鹿舎は、書籍『片隅』を九州限定配本で刊行する。
 持ち歩いてほしいから、A5変形の小さな本にした。
 厚さは1センチ程度、30ページちょっとがカラーページだ。
 巻頭に、詩人・谷川俊太郎さんにお願いして詩を掲げさせていただいた。
 「隅っこ」
 そうタイトルが付けられた詩は、福岡の画家・田中千智さんの素晴らしい画を添えて、とても素敵に仕上がった。
 熊本が誇る天才・坂口恭平さんにも、九州芸術祭文学賞を受賞した沖縄の佐藤モニカさんにもご寄稿いただいた。
 WEB連載でおなじみになっている、いつもの作家陣にも執筆してもらった。圧巻は元お笑いコンビ・キリングセンスの萩原正人さんによる書き下ろし小説60枚だ。
 とても、良い本だと自負している。きっと、楽しんでいただけると思う。
 
 たとえば東京の出版社が、東京の作家だけを取り扱うわけはないし、東京でしか売らない、わけでもない。
 同じことを、九州でやろう、というだけのことだ。
 ただ、せっかく九州に居るのだから、九州の本屋さんにまず元気でいてほしくて、九州限定配本をするのである。
 
 九州で限定して配本されたら、九州外のひとは手に入らないじゃん。
 
 そういう人もいるかもしれない。
 だが、北海道限定のスイーツを、北海道の人しか買えないじゃん、と文句を言う人はあまり聞かない。
 北海道旅行の楽しみにしたり、お土産にしたり、注文して届けて貰ったり、北海道の友人知人に頼んで買って送って貰ったり、する。
 本だって、同じことが出来るんじゃないか、と私たちは思っている。九州で作った本だから、九州の本屋さんから買ってほしい。ただそれだけだ。そして、それだけで、本屋さんはずっと元気になれる。
 あなたが九州に旅行する、あるいは出張するときに、そうだ伽鹿舎の本が買えるなと、ちょっとだけ楽しみが増える、そんな存在になれたらいいと、そう思う。
 
 もちろん、九州の作家さんは積極的に応援していきたい。
 九州の面白いものや楽しいもの、素敵なものもご紹介したい。
 WEB片隅では特にそれに力を入れていきたいと思っているし、書籍「片隅」でだって、それは盛り込んでいく。
 「あらゆる意味で」この「ご時勢」に、本がもたらしてくれるものはもっとずっと人びとに必要とされる筈のものだ。国境線は変わらずあっても、隣国も地球の裏側さえも随分と近くなった。本が与えてくれる知恵も知識もぬくもりも厳しさも、「今」を生きる人には絶対に必要なものだ。
 東京の、出版社がひしめく場所の匂いや空気の中でセレクトされ編まれて送り出される本と、地方でセレクトされ編まれて送り出される本は、少しずつ違っているだろう。それこそが、その「土地」の強味だ。
 
 九州から、みなさんへ。
 ここから何をお届けするのか、どうか楽しみにしてください。

『片隅は、そこに立てば中心になる』

 

書籍『片隅』
2015年10月23日刊行
A5変形・フルカラーカバー・本文128頁
定価:税込1,000円
九州限定配本 ISBN 978-4-908543-01-2
取扱取次:熊本ネット
九州外への通販受付書店 キルプ書房(阿蘇)
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